Brachytherapy の限局性 前立腺がんの初期治療 としてのfocal therapy への応用

摘要

2018年の世界がん統計では,前立腺がんは男性におけるがん死者数の6.7%であり第5位であるが,新規がん患者数では13.5%を占めており，肺がんに続いて第2位となっている.このがん死者数と新規がん患者数の比率の不一致は前立腺がんの特徴を反映するものであり,その要因として,前立腺がんの生物学的特徴のほか，PSAスクリーニングの普及による早期前立腺がんの検出増加があげられる.実際，早期前立腺がん患者の中には診断時にがんに由来する症状がなく，排尿機能や性機能が保たれている患者も少なくない. 限局性前立腺がんの標準治療としての手術や放射線照射は現在広く行われており,いずれも前立腺全体治療であることから，排尿機能,性機 能,腸管機能などへ無視できない影響を伴っている.低リスク前立腺がんでは，過剰治療を回避し,各機能を温存するための解決策として積極的監視療法が確立したが,臨床的意義のある がん(significant cancer ； SC)を有する症例の多くは即時制がん治療として前立腺全体治療が提 案されている.しかし,特に，中間リスクがんは患者数が多く，このうち病巣が部分的な症例では，ほかのがん腫と同様に，局所制がん治療と臓器温存の両立を実現することは,個別化治療としてこれからの前立腺がん診療に課せられた課題の一つである.以上の理念のもと,近年，focal therapyは着実に発展を続けており，限局性前立腺がんに対する初期治療として，小線源療法 (brachytherapy)を用いたfocal therapy について概説する.