9.炎症(白血球数/CRP)

摘要

おもな検査項目:白血球数/CRP.検査値の基本的な見方:炎症の診察で重要なのは、まずは患者の症状とバイタルサインです。一般的に炎症は、患者の訴えから診療がはじまります。発熱がある、発赤や腫脹など局所の炎症反応がある、咳痰などの呼吸器症状や腹痛.下痢などの消化器症状があるなど、さまざまな症状から炎症があることを推測し、診療にあたります。そして、それらの症状の訴えが患者からあった際に、炎症の原因や程度などを推測するために検査値を利用します。炎症があることが疑われた際にまず確認するのが、白血球数です。白血球は免疫を担当する血球なので、炎症があれば、通常は値が上昇します。しかし、ウイルス感染や敗血症といった重篤な病態では逆に低値を示すことがあるので注意が必要です。白血球数の次に、炎症の程度をみるためC反応性蛋白（C reactive protein ;CRP)を確認します。CRPの値は感染症をはじめとした炎症で上昇しますが、炎症が激しいほど値が高くなるので、炎症の程度をみるのに有用です。—方で、炎症の原因や場所によらず値が上昇するため、CRPの検査から炎症を起こしている原因や場所を特定するのは困難です。白血球数、CRPともに,症状の進行や治療効果をみるためには、その変化を追うことも重要です。細菌性肺炎などの細菌感染による炎症に対しては、抗菌薬を投与することによって感染が沈静化するとともに白血球数、CRPの値も低下してきます。もちろん、咳や発熱といった自覚.他覚症状の変化がもっとも重要ですが、これらの検査値も抗菌薬が有効かどうかの判断に用いられます。