政策分析ツールとしてエネルギーモデルの概要

摘要

BESOM，DESOMが発表された1974年と1979年はそれぞれ第一次および第二次石油危機の直後であり，政策ツールとしてのエネルギーモデルへの期待と同時に，石油価格の想定を超える高騰と実質価格の低下から市場メカニズムと経済的合理性に基づくモデル予測の限界が強く意識された時代でもあった．石油価格はエネルギー政策策定に不可欠な要因ではあったが，その予測にはコスト最小化や消費効用最大化より，むしろOPECの政治状況を定量的に反映しようとするルール型行動シミュレーションモデルが適しているとみなされ，Gately やBlitzer，佐和他，森他など個性的なモデルが開発された．この時代のモデル開発の歴史的経緯は，文献を参照されたい．ともあれ，エネルギーと経済，環境問題と政治的事象間の相互影響評価には不完全ながらモデル評価が唯一のツールとなった．