人体の解剖学的構造認識のための体幹部X線CT画像における骨格構造の自動解析

摘要

計算機支援診断において，人体臓器の解剖学的構造の自動認識は重要な要素であり，画像内の臓器領域の自動認識·抽出が必要不可欠である．そのとき，体幹部に存在する骨格と他の臓器との位置関係は症例による個体差が小さいため，骨格を用いることにより症例間の身長差や姿勢の正規化，臓器の位置情報の推定が可能であると考えられる．今回は骨格の構造認識結果を利用し，その応用例として，胸郭上口，胸郭下口，鼡径靭帯 c骨前縁を認識することで，その周辺の解剖学的な構造認識に位置情報を提供する手法を提案した．そして，体幹部CT画像20症例に対して本手法を適用し，胸郭上口，鼡径靭帯と腸骨前縁，それらの隙間をそれぞれ成功率100％(20/20)，80％(16/20)，胸郭下口において95％(19/20)で認識できた．よって本手法はこれらの認識に有用であると考えられる．また，認識結果は首と骨盤における大動静脈等の位置の特定や横隔膜の認識へ応用ができることを確認した．