3次元腹部CT像における複数臓器抽出のための腹腔領域の階層的標準化処理

摘要

本論文では，非造影の3次元腹部CT像内の階層的な腹腔内標準化処理について述べる．この処理は，抽出難易度を基に臓器を上位，下位の2種類に分けて標準化を行うことで，従来よりも臓器の形状や位置のばらつきを抑え，臓器抽出処理の精度を向上させることを目的とする．ここで上位臓器は心臓，肝臓，左右腎臓，及び脾臓である．また，下位臓器は食道，胃，膵臓，胆嚢，門脈，下大静脈と腹大動脈である．具体的にはまず，上位臓器に注目した標準化処理とそれに基づく粗抽出処理を実行し，その後上位臓器の粗抽出結果を利用して下位臓器に焦点を当てた標準化と粗抽出を行う．本論文では，提案手法を実際の3次元腹部CT像の17症例に適用して性能を評価した結果について示し，提案手法の有効性について考察する．