大血管と臓器領域間の最適経路探索に基づく多時相三次元腹部CT画像からの血管名自動対応付け：最適経路探索の改善

摘要

三次元CT画像からの血管抽出とその解剖学的名前対応付けは計算解剖学や臨床計画において重要な問題である．個々の血管は臓器間と大血管間で血液の受け渡しを行い，大血管領域を根，各臓器領域内に葉を持つ木構造を持つという解剖学的な特徴がある．そのため事前に臓器領域と大血管領域が抽出されていれば，血管抽出は大血管と臓器領域の最適経路探索の問題に置き換えることができる．本手法では，最適経路探索を行うことで，血管領域の抽出と血管名自動対応付けを行う．また，本手法は血管のトポロジーの多様性に対して頑健である．10症例に対して本手法を用いた，腹部動脈抽出および血管名自動対応付けの実験を行ったところ，平均F値は89であり従来手法の平均F値0.74と比べて精度が上昇した．