暗号システムでの使用に適した乱数生成法

摘要

暗号システムでは、乱数を多用する。 ブロック暗号では、通信相手毎に異なる秘密鍵（乱数）を生成·保管する。 EIGamal暗号（署名）では、通信文（署名）毎に10進で300桁程度の大きな乱数を生成する。 これらの乱数を秘密に生成·記憶するのは、一般に困難である。 本稿では、0≦x{sub}n≦1の値を取るロジスティック·カオスやテント·カオス等のカオス系列{x{sub}n}（n≧0）を浮動小数多倍長引算ソフトであるGNU GMPを用いて大き目の有効桁数で計算した上で、飛び飛びのnについてx{sub}nの有効桁の数字から必要な桁数だけを10進整数として読み取って乱数として使用する方法を提案する。 この場合、初期値x{sub}0だけを秘密にしておけば、カオスの初期値鋭敏依存性により、乱数生成者以外の者が同じ乱数を生成することは十分に困難にすることが出来る。 有効な応用例についても言及する。