基板実装型コモンモードチョークコイルの電磁界解析用モデルの評価

摘要

通信機器等では高速の差動インターフェースを搭載する機器が増えており，差動線路上に伝搬するコモンモードノイズを抑制するために，コモンモードチョークコイルを実装するケースが増えている．これまで，電磁界解析に適用可能なCMCの実用モデルとして，磁性体に2導体配線を貫通させた構造で，磁性体に仮想の磁性特性を与えることで実際のCMCと同等な特性を実現するCMCのモデル化手法の検討を行ってきた．このCMC計算モデルを2導体線路に適用し，インピーダンスの非対称な線路の初期検討として，インピーダンスに周波数特性を持たない抵抗を2導体線路の片側に直列に実装し，CMC 計算モデルのコモンモードノイズ抑制効果を計算した．1導体線路におけるCMCの伝送特性と同等のコモンモードノイズ減衰特性があることを確認した．今回は，評価基板を用いてCMCを2導体線路に実装した場合のコモンモードノイズ抑制効果を測定し，計算結果と比較することで2導体線路でのCMC計算モデルの有効性を検証した．計算結果は測定結果とほぼ一致し，今回提案したCMC計算モデルの有効性を示すことができた．