回胴式遊技機からの放射交流磁界が遊技者の心臓ペースメーカに与える影響に関する検討

摘要

心臓ペースメーカの利用者は，電磁障害による誤動作を防ぐ目的から強く磁界あるいは電磁界を放射する機器に対して利用制限等がある．日常生活で利用する多くの電子機器については心臓ペースメーカへの影響の有無について調査が行われているが，ぱちhこ遊技場及び遊技場に設置される遊技機による心臓ペースメーカへの影響についてこれまでに検討はされていない．そこで本稿では，ぱちhこ遊技場に設置される遊技機のうち回胴式遊技機（いわゆるパチスロ）に着目し，遊技機が複数同時に稼働した場合における遊技者の心臓ペースメーカに対する電磁雑音の程度を検討した．0.18重量％濃度の食塩水を満たしたループ面積2.25×10~(-2)m~2のIrnichモデルに基づく人体ファントムを用いて，遊技場を模擬して設置した3台の遊技機に対して稼働状況に応じたペースメーカリードへの誘導電位の測定を行った．その結果，最悪の状況下においても誘導ノイズ電位は心室センシング電位に対して100dB以上低値であり，回胴式遊技機からの放射交流磁界によりペースメーカへ誤動作を与えることは考えにくいと考察した．