モーメント法を用いた多対ケーブルからの放射電磁界解析のケーブル構造依存性

摘要

UTPケーブルを伝播する通信信号が高速になった場合、UTPケーブルから漏洩する放射電磁界による影響が問題視され、これまで様々な解析が行われてきた。これまでの研究により、UTPケーブル1対から放射される電磁界特性の解析方法として、モーメント法を用いた方法が1GHz以上の周波数帯域においても有効であると示されているが、LANケーブルに使用されているような多対のUTPケーブルに対しての解析法はいまだ明確にされていない。本研究では、表皮効果や誘電体の影響をワイヤ径の調整や線間にキャパシタンスを挿入することで模擬した上、それぞれの対の撚りピッチについても考慮に入れて4対のUTPケーブルをワイヤグリッドでモデル化を行い、モーメント法を用いて解析を行った。また解析モデルの妥当性を示すため、0.3GHzから3GHzまで4対のUTPケーブルからの放射電磁界を測定した。その際、ディファレンシャルモードの信号を印加するためにハイブリッドカプラーを使用した。検討の結果、多対化による各対への伝播定数への影響は小さいこと、解析値と測定値はおおむね一致すること、また撚りピッチが放射電磁界に大きく影響を与えることがないことが分かった。