オリフィス下流部に局所減肉を有する炭素鋼配管の破損挙動評価＜配管強度試験および有限要素法による強度解析の概要＞

摘要

平成16年8月9日に、美浜原子力発電所3号機の給水系統配管が披損して原子炉が緊急停止した。 この事故は、オリフィス下流部において生じた減肉が原因と考えられている。 発電プラント用配管では配管内の流体中流量測定や流量制限のために配管内部にオリフィスや弁の付いた絞り部がよく見られる。 流体がオリフィスを通過すると、流速が早くなり流れの中で飽和蒸気圧を下回る部分が生じ、気泡が発生しキャビテーションが起こる。 コロージョンに併せ、キャビテーション、エロージョンが起こることによって、減肉が生じる。 このようにエネルギー関連プラントの配管は、使用中に様々な種類の劣化·損傷を受ける可能性がある。その欠陥として、「き裂」や上述のエロージョン·コロージョンにより生じる「局所減肉」を挙げることができる。これまでの研究により、き裂が配管の強度と破壊挙動に及ぼす影響が徐々に明らかにされている。 一方、局所減肉についても、直管、エルボおよびT継手配管の破損挙動に及ぼす影響が明らかになってきている。