超音波によるSUS321加熱炉管のクリープ損傷評価法

摘要

石油、石油化学プラントで生じる高温クリープ損傷の評価は、現在、試験対象物の表面金属雑織をレプリカに転写し、光学顕微鏡、又は走査型電子顕微鏡で結晶粒界のボイドヤフイッシヤーヘの成長を観察する方法が主に採用されている。しかし、この方法は、試験対象物の研磨に手間がかかり、しかも、熟練した技術者が定期整備期間中の限られた時間内に作業しなければならない。 しかも、検査結果に2週間程度は要するなどの問題があり、試験体は極一部の代表部位を観察評価している現状である。 それに代り超音波を用いた方法が種々検討されている。 超音波法は試験体表面だけでなく、板厚方向の情報も得られるし、現場作業のし易さ、検査範囲、作業時間、評価時間等の点ではレプリカ法より優れる特徴を有している。しかし、未だレプリカ法に匹敵する信頼を得るには至っていない。 今回の検討では切り出された加熱炉管を超音波を用い、外表面とその近傍を対象に漏洩弾性表面波(LSAW)法を、内部に縦波後方散乱波法を用いて超音波で評価した。また、同じ方法で実機の加熱炉管の評価を行なったのでその結果について紹介する。