非線形超音波法による高クロムフェライト系耐熱鋼溶接継手材のクリープ損傷評価

摘要

火力発電プラントでは，エネルギー効率改善のため，機器の高温·高圧化が進められている．蒸気温度が約600°Cの超々臨界圧発電プラント（USC）では，主要構造材料に高Crフェライト系耐熱銅が用いられている．その溶接では，施工時の熱履歴により，溶接熱影響部（HAZ）に母材よりクリープ強度の低い細粒組織が形成される．細粒HAZでのType-IV損傷により，溶接部の寿命は母材より著しく低下する．また，高Crフェライト系耐熱鋼のType-IV損傷は，内部から進行するため，従来からのレプリカ法や非破壊検査手法が適用できない．このため，溶接部の損傷·余寿命評価，これは，材料内部の組織変化が検出可能で，非破壊的に広範囲の計測が容易な検査手法が熱望されている．ここでは，非線形超音波法を用いてType-IV損傷を評価しようとした．非線形超音波はクリープ進行中の転位組織の変化を捕らえられる可能性をもつので，その適用は，Type-IV損傷のクリープ特性特徴づける手法となる可能性を持つと考えらえる．非線形超音波は，線形特性（音速や減衰など）よりもクリープ中の材料の微細組織の変化に敏感である．