パイプラインへの電子ビーム溶接の適用＜大径鋼管の超高速現地溶接施工技術および溶接装置の開発＞

摘要

天然ガスは地球に優しい21世紀の主要エネルギー源の一つとして今後着実な需要伸長が見込まれているが、その安定した大量輸送を確保するための広域パイプライン網の整備に関して、わが国は欧米諸国に比べて大きく立ち遅れている。 この理由は種々あげられているが、欧米に比べて数倍高いと言われる敷設コストが大きな要因のひとつであることは間違いない。 多くの現地継手を同時進行で溶接するスプレッド工法（欧米で広く採用）を借地制限等により採用し難いわが国では、特に溶接工程が敷設能率を律速する場合が多い。現在わが国の幹線パイプライン現地溶接にはマグ溶接が多用されているが、複数ヘッドの自動溶接機を用いても、例えば呼び径750A·板厚20mm程度のパイプの溶接には1時間程度を要し、また熟練作業者が常時溶接を監視することが必要である。 この現地溶接時間を大幅に短縮するとともに溶接工程の完全な脱技量化を実現するために、著者らは現行のアーク溶接に代えて電子ビーム溶接（以下EBW）の適用に関する検討を行なっている。 ここではパイプラインへのEBW適用概念、および開発技術の概要について紹介したい。