Cr，Mnを添加したAl-7％Mg合金の相分解挙動に及ぼす溶体化処理温度の影響

摘要

Al-Mg系合金の相分解挙動に及ぼすCrあるいはMn添加の影響を明らかにすることを目的として本研究を行った。 溶体化処理温度の相違が固溶量，結晶粒径ならびに微細析出物の存在状態などに及ぼす影響を実験的に明らかにするとともに，これらの組織因子が準安定相や安定相の析出に及ぼす影響について検討を加えたところ，以下の結論を得た。 （1）二元系合金と比較すると，CrおよびMn添加合金の相分解ほ促進された。 この相分解速度の差異は，主として結晶粒径の相違に起因することを実験的に明らかにした。 また，三元系合金で観察される粗大な晶出物（E相やAl_6Mn）の周囲には準安定相や安定相が形成されることから，晶出物の存在も相分解を促進すると思われた。 （2）Mn添加合金では溶体化温度の上昇に伴い相分解が遅延する傾向がみられた。 Mn固溶量が溶体化温度の上昇に伴い増大し原子空孔をトラップすることが，相分解を抑制する原因と考えられた。 （3）三元系合金にみられる微細な析出物（E相やAl_6Mn）と準安定相や安定相との間には，密接な対応関係が観察されないことから，E相やAl_6Mnは準安定相や安定相の析出に顕著な影響を与えないものと思われた。