平成17年11月の特別講演会

摘要

先端電子技術シリーズの第2回として、東北大学の岩崎俊一教授（現名誉教授）の発案後28年を経て実用的な製品が出荷された日本の誇る垂直磁気記録方式のハードディスクについて、この世界で東芝と並hで中心的な研究開発に従事してこられた日立製作所中央研究所の副所長でいらっしゃる都築浩一鈴氏に講師をお願いした。 会場は日本化学会化学会館ホールである。 　 講演の初めに、磁気記録の歴史の説明があり、1960年代の半ばから1990年代の初めまで記録密度が年率約25％で向上したこと、1992年の磁気抵抗素子の開発以来、年率60％になり、1990年代後半になると年率100％で昨年まで向上を続けていることが紹介され、半導体の密度上昇を大幅に上回っていることが理解できた。 また、基本的な構造の説明の中で、昨今のハードディスクではナルベルの加工技術が重要な役割を占めていることが、位置決め精度ではゴルフコース130キロメートルのホールインワンや、ジャンボジェット離着陸時の地面からの浮上距離0.6ミリメートルにたとえられて、技術が尋常でないことを悟った。