現代左官事情 その34「木造外壁仕上げ（14）」

摘要

本節に関しては本誌3月号6頁の「ラス下地モルタル塗り工法の剥離·剥落性について」において国土交通省国土技術政策総合研究所の宮村雅史先生が詳細に記述しているので参照していただきたい。 従来、木造軸組工法、あるいはツーパイプオー工法等による家屋の外装には、防火構造としてのラス下地セメントモルタル塗り工法が広く行われている。モルタルの現場調合を行うことが多いが、年々良質の細骨材を人手することが難しくなっている。 そこでセメント·軽量骨材料および必要に応じて混和材料·繊維等をメーカーの工場で調合した、既調合セメントモルタルが使用されてきている。 昭和40年代後半に出始めた既調合モルタルは、左官材料の作業性改善や品質の安定化·均質化ならびに左官工事の省力化を目的として、諸材料のうちから数種を選び工場で既調合したものであり、現場では水だけを加えて用いられる。ポリマーデスパージョンを混和させて使用するものもあり、骨材はけい砂、寒水石、砂、パーライト、スチレン、エチレン酢酸ビニル、塩化ビニルなどの樹脂発泡体を粒状にした有機質骨材がある。 各メーカーによって、使われている材料やその調合比が異なっており、その品質にも格差がある。 日本建築学会では建築工事標準仕様書JASS15（左官工事）で、JASS15M-102（ラス下地用セメントモルタル材）の規格を定めている（表1）。