2価ルテニウム錯体触媒を用いるアルキン類の環化三量化反応

摘要

3分子のアセチレンからベンゼンが生成する環化三量化は，Woodwar-Hoffmann則において熟的に許容であり，142kcal mol~(-1)の発熱を伴う熱力学的に有利な反応である（スキーム1）110しかしながら，その活性化障壁は60－80kcal mol~(-1)と見積もられ，400°Cを超える反応温度が必要であることがわかる。このような過酷な条件では，ベンゼン以外にも様々な芳香族誘導体や重合物が副生し，有機合成化学的意味を持たない2一）。 これに対しReppeらは，ニッケルホスフィン錯体を触株として用いることで，100°C以下でもモノアルキンの環化三景化が進行することを見出した。