円二色性分散計の原理と応用

摘要

円二色性（Circular Dichroism：CD）は，左円偏光と右円偏光に対する吸光度の差であり，旋光分散（Optical Rotatory Dispersion：ORD）は直線偏光の偏光面を回転させる旋光性の波長分散のことで，いずれも光学活性にかかわる性質である。これらの性質を利用した測定手法は，光学活性物質の立体構造に関する情報を得ることができる希少な測定法として，有機化学，無機化学，生化学などの分野で光学活性物質の立体配置，立体配座の解析，タンパク質などの生体高分子の高次構造解析を行うために用いられてきた。CDスペクトルとORDスペクトルは，互いにKronig－Kramersの式によって相互変換することができ，同じ現象を異なる側面から見ていることになる。