ヒャリ·ハツ卜とスノ一ボール·モデル

摘要

前回は，関らが書いた「医療事故防止対策立案に向けたィンシデント事例収集の課題——事例の分析結果から」を紹介した。この論文では， 病棟の看護師から報告されたィンシデントa)(以下，ヒャリ'ハット）を分析して，それらを活かす取り組みを考察したものであった。報告されたヒャリ'ハットを分析すると，経験年数が浅い看護師は「単純な確認の怠り」「知識不足」「技術未修得」「業務の不慣れ」などから「あせり」を招き，これらが医療事故を引き起こすこと力《考えられた。ヒャリ·ハットを活かす取り組みとして，ヒャリ'ハットが発生するまでに関与した全ての職員から情報取集を行い，業務プロセス，情報伝達のあり方，組織'管理上などの課題を関係者で共有し，それらを継続的に改善するための仕組みが必要と思われた。最後に筆者は，以前紹介したヒャリ·ハットからヒューマンエラーの関係を分析できるひとつの考えとして，心身機能モデルを付け加えた。今回は，前回に続きヒャリ·ハット書式を検討した論文を紹介する。