小規模事業所のリスクアセスメントの進め方

摘要

平成18年の労働安全衛生法改正により，職場のリスクアセスメントが努力義務とされてから4年が経過した。ただ小規模事業所では，大企業に比してその実施は遅れているといわれている。その理由はリソース（人材，時間）の不足にあると思われる。また，リスクの見積りにあたっての煩雑さも，小規模事業所への普及を阻害している要因の一つといえる。むしろ小規模事業所では，経営者や管理者にとって，取り上げられたリスクの優先順位を判断すること自体はさほど難しくはないはずなので，厚生労働省が推奨しているマトリクスや得点化などによる詳細なリスク見積りにはこだわらなくてよいと考えられる。というより，可能な限り幅広くリスクをリストアップし，具体的な改善につなげていくことに力点をおくべきであろう。