繊維強化ポリプロピレンと高張力鋼の異種材料溶着接合における高強度接合手法の検討

摘要

近年，様々な材料を適材適所に配置するマルチマテリアル化によって構造物を軽量にする技術が自動車車体などの構造設計へ導入されている。異なる材料をつなぎ合わせて構造体を作り上げるマルチマテリアル構造では，異材接合技術が鍵となる。金属同士の異材接合では，鉄／アルミニウムのFSW（摩擦攪拌接合）など実用的な新技術が着実に研究·開発されてきた。一方で，金属と非金属（セラミックス，プラスチック，複合材など）との異材接合はニーズが大きいものの，接合手法は非金属の材料特性や金属の表面態に大きく依存するため一般化が難しい。金属／非金属のもっとも汎用的な接合手法として接着接合が挙げられるが，被着体の表面状態や接着剤の樹脂特性，硬化条件など様々な影響因子があり，利用にあたっては正しい知識と適切な施工プロセスが求められる。とくに非金属側の表面特性の影響は大きく，5大汎用樹脂の1つであるポリプロピレンに至っては表面極性が極端に低いため接着困難な材料として有名である。