小型保護熱板装置による断熱材の熱伝導率測定－熱リーク量を推定した補正法の不確かさ評価

摘要

宇宙用ポリイミドフォーム多層断熱材(PF-MLI)は，低密度多孔質材であるポリイミドフォーム(Polyimide Foam: PF)により，伝導伝熱を低減し，また，両面アルミ蒸着フィルムによりふく射伝熱を低減することで高い断熱性を有する[1].ふく射伝熱が支配的となるこれらの断熱材の熱伝導率測定は定常法である保護熱板法で行なってきた.新しい宇宙用断熱材の開発段階において，小型試料で測定を行なうのが望ましいため，GHP装置を130 mm角に小型化している.しかし，宇宙用断熱材の有効熱伝導率は10~(-3)～10~(-4) W/m/Kオーダーであり，装置を小型化しているために，測定熱量が約10～10~2 mW程度と非常に小さい.従って，熱リーク量が相対的に増し，正確な熱伝導率評価が出来ないという問題があった.従来から，装置周囲の断熱を強化して熱リークの低減を試みてきたが，装置が複雑化してしまい，断熱強化には限界があった.