ハイブリッド固相接合装置の開発：高周波誘導加熱と超音波振動を用いた大気中でのアルミニウム固相接合技術（第1報）

摘要

アルミニウム及びその合金は、軽量性、耐食性、美麗などの点から、構造材料として自動車をはじめ新幹線などの高速鉄道車両、リニアモーターカー、航空機、宇宙ロケットなど、主要な産業で広く利用されている。今後も、様々な産業で需要が拡大すると期待されている。しかし、アルミニウムおよびアルミニウム合金は、以下の性質があるため接合することが難しく、接合技術の向上が望まれている。①溶融熱、熱伝導度が大きいため、効率のよい熱集中が必要である。例えば、抵抗溶接では短時間で高い溶接電流で溶接される。②凝固時の体積収縮、線膨張係数が大きいので、溶接ひずみが生じやすく、合金によっては割れも生じやすい。③酸素との親和力が強く、表面に強固な酸化皮膜が存在するので、融点が2000°Cを超える安定した酸化皮膜が母材との融合を妨げる。④化学的に活性であるため、溶融金属を空気より保護する必要がある。また、溶融アルミニウムは水素の溶解度が固体時より大きく、溶接部の気孔の原因となる。