石油危機再燃！暴騰原油直撃の新年度国内市場

摘要

昨年秋以降，沈静化に向かうとみられた原油市況だが，12月後半から再び上昇に転じると，1～2月にかけて一挙に高値圏に再突入。WTIは2月下旬には50ドル／バーレル台を回復し，3月入り後は昨年の過去最高に肉薄する54ドル台となった。 ドバイは45ドル台，オマーンは47ドル台とそれぞれ過去最高を更新し，昨年の高騰時に比べるとこれら中東産原油の上昇も特徴的な点。米欧日の同時寒冬という季節要因が大きいものの，構造的な需給要因に根ざした原油高値は，今後も続きそう。 米国からは「年末までに（WTI）70～80ドル」の声も聞かれるなど，先行き一段と予断を許さない展開となってきた。 わが国石油業界では，この原油高騰のあおりで2月，3月と元売仕切が計3円以上引き上げられ，末端市場はその価格転嫁作業に入っている。 昨年12月以来，かなりの値崩れが進hだガソリン市場では，コストアップ（＋）市況建て直しで大幅な（平均5円程度）値上げの必要に迫られ，産燃油市場でも3円前後の値上げ申し入れが相次いでいる。 更に4月には，3月の原油高騰による3～4円もの仕切上げが待ち受けており，2月以来のコストアップは累計で6～7円台に達しそう。 昨年，いくつもの原油高騰の荒波をくぐり抜けた石油業界だが，これほど短期間に大幅値上げが連続するのは初めて。 石油関係者も需要家業界も等しく危機感を強めつつある。