わが国家庭用都市ガス料金これが内々価格差の実態だ

摘要

都市ガス家庭用の自由化が現在大きな問題となっているが，論議の中で意外に忘れられているのが中心テーマともいうべき料金水準の問題だ。 わが国の都市ガス料金がどういった水準にあり，何が問題になっているかということだ。 この中心テーマを忘れて原料の調達環境がどうの，保安確保問題がどうのといっても始まらない。 まして，電力との競争環境の公平性などといった議論は業界単位の内輪の話で全く諸にならない。 電力も料金問題がきっかけだったが，そもそも都市ガス業界の規制緩和，自由化の必要性が叫ばれ，年間契約数量200万m~3以上（1万1千kcal）の工業用大口から順次新規参入が認められるようになったのは，わが国の都市ガス料金が欧米や韓国に比べて圧倒的に高く，また家庭用では3倍近い内々価格差が存在していることが問題視されたのが発端。 都市ガス各社に供給区域という排他的特権を与え，競争環境を作り出さなかったのが間違いだったのではないかというわけだ。 以来，新規参入等による効果は今年4月にエネ庁の制度改革評価小委員会報告でまとめられたように競争促進によって原料高騰にもかかわらず工業用大口等ではかなりの料金抑制が図られ，家庭用でも料金引き下げなどが行われて都市ガス各社が料金問題に真剣に取り組み始めたことがはっきり現れている。 先の都市熱エネルギー部会では「これまでの都市ガス改革で失敗は何もなかった」との高い評価の声さえ聞かれたのだ。 今後は改革の本丸ともいうべき家庭用の自由化をどうするかが焦点となるが，その都市ガス家庭用料金が現在どうなって何が問題かを次に若干紹介したい。