値上げのピーク迎える8月市場燃料油の値取りの手を緩めるな

摘要

7月16日に発生した「新潟県中越沖地震」は，新潟県柏崎市，刈羽村を中心に，多くの死傷者を出した。震度6強のエリアでは，SSも建物被害を受け，一部では営業停止を余儀なくされたが，多くのSSはライフラインの一翼を担うため，懸命な給油作業を続けている。 被災地の一日も早い復旧を願うばかりだが，今回の地震では東京電力の柏崎刈羽原子力発電所の運転停止という，エネルギー供給上の重大事態も発生。 長期化必至の原発停止で，石油火力や圭·原油の供給体制，白油を含めた国内需給にもこの先，影響が予想されるところとなった。 他方，原油市況は7月に入って一段と上昇し，WTI，ドバイ，ブレント，OPECバスケット等の各油種で，昨夏の史上最高値に迫るか既に更新する勢いとなっている。米国の製油所事情や中東産油国の地政学リスクに伴う原油高騰は，今年もまた夏場のピークを迎え，3月から連続する元売仕切値上げは，8月で6カ月目に突入した。 この間，ガソリン市況は元売仕切上げを受けて上昇が続き，石油情報センターの最新調査で140円／l（全国平均）を突破。 全国的には，コストアップに応じた市況形成が進みつつあるが，関東などの主要幹線や陥没地区では，逆戻り値下げや実売億の引き下げも目立ち，130円台前半の価格表示など，公式調査とは異なる実情も浮かhでいる。 安値の背景には，大手や子会社の不可解な仕入事情もみえ隠れし，販売低迷に伴う量販志向の強まりも指摘されている。 今のままでは，8月値上げ（必要額は5～6円とも）の浸透も危ぶまれ，局地的値崩れも懸念される。市場関係者にとって，8月はこれまで以上に要注意の月となりそうだ。