エネルギー政策法の実施がベースのEIAの長期エネルギー需給見通し

摘要

米国エネルギー省（DOE）のエネルギー情報局（EIA）が12月5日，"Annual Energy Outlook 2007（Early Release），Reference Case Farcast and Overview"（以下，AEO2007と略記）を発表した。 2005～2030年にわたる「米国の長期エネルギー需給見通し」を示したもので，毎年年初にその完全版を公刊している。今年は1月31日にそのWEB版が発表される。 今回のものはそのダイジェスト版であり，かつレファレンス·ケース（標準ケース）だけのもの。 しかし，EIAの長期需給見通しの基本視座は貫かれており，2005年に策定され2006年から実施に移されている「エネルギー政策法2005（EPAtc2005）」をベースに据えた需給見通しとなっている。 AEO2007がAEO2006と決定的に異なる点は．このEPActに盛り込まれた原子力発電の新規プラントの25年ぶりの建設，30年間一件もない新規製油所の建設，バイオマス燃料への大幅なシフト等々の具体的進展が前提とされたことである。 結果的には，エネルギー需要の伸びの中でそれらのエネルギーのウェイトそのものは大きくは変わらないし，逆に低下するものもある。2006年に一段と急騰したエネルギー価格·石油価格も織り込まれて，AEO2006とは少し異なる姿となっている。 以下，その概要を紹介しながら記者なりのコメントを加えることとする。