五島の浮体式風車，グリーンボンド発行で大賞再生エネ普及環境に追い風，どうなる石炭火力

摘要

長崎県五島列島沖で計画が進む浮体式洋上風力発電事業の事業資金をグリーンボンド発行で調達した戸田建設が，一般社団法人環境金融研究機構（RIEF）が選考する「第3回（2017年）サステナブルファイナンス大賞に選ばれ1月24日に授賞式が行われた。再生可能エネルギー発電事業の新分野を開拓すると同時に，事業者による本業プロジェクトを対象とした国内初のグリーンボンド発行に踏み切った行動が評価された。グリーンボンドとは，地球温暖化をはじめとした環境問題の解決に役立つ事業に用いる資金を調達するために発行される債券。戸田建設が計画する五島沖の浮体式風車は，本誌でもたびたび紹介してきた画期的な風車だ。戸田建設は2007年から浮体式洋上風力発電の研究を開始し，2010年には環境省の実証事業に採択され，それが終了した後の2016年4月には実証機の設置場所を移して2，000kWの風車1基が実用運転を開始している。計画では更に9基ほどを増設して合計容量2万kWを目指す。2015年秋のCOP21（気候変動枠組条約締約国会議Conference of Parties）パリ会議で，今世紀後半までに人間活動による温室効果ガスの排出量を実質的にゼロにする方向性が打ち出された協定が採択され，2016年11月に発効した。脱炭素の取組みが企業活動を激変させており，CO2を出さない再エネ重視の取組みが広がっている。一方で，発展途上国では激増する電力需要を賄う石炭火力の増設が続いている。これを高効率にすることでCO2削減を目指している日本の政策にも批判の矛先が向けられてきた。