原油と石炭が続落，9社で値下がり自由化目前の2月は10社値下げに

摘要

10月に輸入された原油の円建て価格が7月価格から27％も安くなったことから，8～10月平均の原油価格は7～9月から9.8％も下がる。また，石炭の場合も10月分は8％下がり，8～10月平均は2.9％安くなった。このため，原油や石炭の使用比率の高い電力では，平均燃料価格が今回も前期から大幅に下がる。一方，10月のLNGは7月を4％上回ったが，値上がり幅が縮hだことから8～10月平均の値上がり幅は1.2％に鎮静した。このため，LNGを使用している電力の平均燃料価格にも原油と石炭の影響が反映するようになった。こうした8～10月の輸入価格で算出した10社の1月検針用平均燃料価格は，中部が最小単位の100円／kl上げになったほかは値下がりした。値下がり幅は北海道の2,300円（8.0％）を筆頭に，沖縄が1,300円（6.0％），北陸が1,300円（6.1％）と，今回も燃料費調整諸元にLNGを含hでいないこの3社で大きく下げた。しかし，LNGを使用している関西と中国，四国は3～5％の，東北と九州は2％前後の値下がりにとどまった。平均燃料価格が前期に続いて10社とも基準値を下回ったことから，1月検針の燃料費調整でもマイナス調整が実施される。特別高圧用でみたマイナス調整単価は，中部が12月検針用から2銭／kWh縮小（電気料金は値上がり）するが，調整幅が拡大する9社は12月料金に対して10～41銭の幅で値下げ圧力になる。翌2月検針分では10社揃って値下げ圧力を強める。11月に輸入される原油と石炭が続落するほか，LNGの値上がりも鎮静するためだ。小売の完全自由化を間近に控えたこの時点で，新規参入を目論hでいる新電力にとって，10社の料金値下がりは想定外の事態に違いない。