スポットフレート急騰がプロパンの6月CPを上げた

摘要

サウジアラムコ社は29日，関係輸入各社に対して6月のLPガスCPを「プロパン745ドル，ブタン770ドル」とした旨，通知してきた。前月に比べてプロパンが10ドル上げ，ブタンが同5ドル下げとなった。5月の中東FOB市況は下げが続いたが，CFR市場はスポットフレート市況の急騰を受けて月半ばから上昇したことから，サウジアラムコがどういう価格を打ち出すかに関心が集まった。元売筋の予測に比べてやや高い価格が示された。5月のLPガス国際市場で特筆されるべきはスポットフレート市況の急騰だ。3月終わりまではAG（アラビア湾）～JPN（日本）のスポットフレートは40ドル／トンだった。上昇を始めたのは4月から。それでも45ドル前後だったのだが，5月初めに50ドルを超えた。それからが凄い。5月半ばには68ドルとなり，20日にとうとう71ドルとなってしまった。あとで詳しく述べるが，4月以降LPガス大型オーシャンタンカー（VLGC）の船舶需給が急速に逼迫したのだ。このためにLPガス市況もFOB市況は横ばいかあるいは小幅な上げにとどまっていたのだが，CFR市況が上昇したのだ。4月下旬と5月下旬を比較すると，極東CFR市況は20ドル前後の上げとなった。理屈からいえば，CFR市況からフレートを差し引いたのがネットバックのFOB価格ということになる。CPは下がって当然ということにもなるのだが，そうもいかなかったか。サウジアラムコはプロパンを5ドル上げてきた。以下，6月CP決定の市場背景をみていく。