スポットフレート急騰が響いた5月CPプロパンの上げ

摘要

サウジアラムコ社は30日，わが国の輸入関係各社に対して5月のLPガスCPをプロパン810ドル，ブタン825ドル／トンとした旨，通知してきた。前月に比べてプロパンが40ドルの上げとなったのに対して，ブタンは20ドルの下げとなった。ブタンCPの下げは5カ月連続。プロパンは元売各社·商社の予想に比べて10～15ドルの高値だった。4月の国際LPガス市場を特徴づけたのは，何といってもスポットフレートの急騰だ。信じられないほどの上げ幅となった。2月末が最も安くアラビア湾～日本（AG～JPN）基準が41ドル／トンだった。それがどうだ，4月25日には138ドルにも達した。こhなことは前代未聞だ。1990年前後，まだVLGCが55隻しかなかった時期に，冬場の需要急増で極東CFR市況の「みなしフレート」が100ドルになったことがあった。しかし，玉の需給逼迫を背景にトレーダーがFOBをいち早く確保し，これに船を曳いたためにCFR市況が急騰したのだ。当時のSP価格に比べてCFRが100ドル高くなったために，これを「みなしフレート」といったわけだ。フレートも高騰したが，それ以上にLPガスそのもののFOB市現が急騰したというのが実態だった。今回は全く状況が違う。玉そのものの市況（FOB市況）は，3月には大幅下げとなった。だから，4月CPは大きく下げた。4月市場でも必ずしもFOBが上昇したわけではない。にもかかわらずフレートだけが文字どおりの棒上げ状態となったのだ。記者は本誌4月20日号の「国際市場の新たな展開に議論白熱の『LPガス国際セミナー』（3）」で，英国の船会社クラークソンズ·ガスのニコラ·ウィリアムズさhの「VLGCタンカー市場の大変化をナビゲートする」を紹介したが，3月7日の時点で彼女もここまでのフレート急騰を予測していなかった。だが，当該原稿執筆時の4月10日過ぎには118ドルとなっていた。そこで記者は，二コラさhのプレゼンに「フレート急騰事情」を付記した。これを参照いただきたい。急騰のベースにあるのは，LPガスの供給増加に船の供給が追いつかないことにある。また後で言及する。とりあえず，5月CP決定の背景となった「4月国際市場」の概況からスタートする。