原油相場の暴騰で今期のC重油はHS2,300円，LS0.3％4,810円上げ

摘要

新日本石油系列の特約店や大口需要家に10月20日（水），C重油の10～12月分仕切基準価格，つまり当面の要求価格が伝えられた。支払サイト60日向け，湾内平水船持ち届けベースで表示された仕切価格はS分3.0％が31,800円／ｋｌ，0.3％HPPが39,400円／ｋｌ。S分1.6～3.0％のHS部分は前期決定価格から2,300円の値上げに，仕切価格との比較になるLS部分は0.3％で4,810円上げ，0.2～1.5％で5,010～2,350円上げといずれも大幅な値上げになる。 今期のC重油価格は8～10月中のコストで算出する。 原油相場がコストを一段と持ち上げる状況へ動き，最後の10月に入ってから相場が史上最高値を連日のように更新する事態になったことから，予想を上回る大幅な値上げ要求が出てきた。 とりわけLSC重油は，投機対象銘柄のWTI並みに暴走しているミナス原油の値上がりを反映して猛烈な値上げ要求になり，LPPではA重油より高い価格が提示されている。あたかも，A重油への転換を誘導しているかのように。また，仕切通告後に一段のコストアップ状態が訪れても耐えられるよう，予めコストを高く見込hでいることも，こうした大幅な値上げ要求につながった背景といえる。 特にミナス原油は，自国の大慶原油と性状の似た原油を必要とする中国の買い付けによって上昇しているため，仕切は一段の暴騰を織り込hだ結果になっている。 HSCは王子製紙との中央価格交渉が期中に決着すると考えられるものの，LSCはまだ上期分から東京電力との長期交渉が続いている状態のため，LSCはあくまで仕切価格と判断しておいた方が無難であろう。