7月冷夏でも原子力落ち込み大きく九電力の火力発電は13.3％増えそう

摘要

西日本では9月下旬に入っても最高気温が35°Cを超える猛暑日が続出するなど，8月に引き続いて記領的な暑さに見舞われた。 東日本や北日本でも平年気温を上回る状態が続き，全国的に7月の気温を大きく上回った。ラニーニャ現象が確認されたことで期待が膨らhだたけに，7月冷夏には強烈な肩透かしを食わされる形になったが，想定外の9月猛暑が7月の出遅れ分を埋め合わせた可能性がある。 とはいえ，7～9月に予想される九電力の発受電量は，筆者が本誌の6月20日号で紹介した7～9月猛暑ケースに比べ，伸び率が6.4％から3.2％へ半減する。 増加電力量も164億kWh増が83億kWh増へ半減する。 しかし，新潟県中越沖地震によって柏崎刈羽原子力発電所が7月16日から全面的な運転停止を余儀なくされるという想定外の事態が発生したはか，その他のプラントでも運転再開時期が延びたことから，7～9月に予想した九電力の原子力発電量は，6月予想の12.0％（90億kWh）増が，実際には9.5％（71億kWh）減へ180度方向転換した。 原子力は予想に比べると161億kWhも後退したことになる。 8～9月のラニーニャ猛暑は7月冷夏を，筆者予想の発受電量では穴埋めできなかったが，原子力発電の落ち込みによって，九電力の火力発電量は前年同期を13.3％（163億kWh）も上回った可能性がある。 6月予想の11.4％（140億kWh）増を超えた。 そのため，火力発電用燃料消費が急増しているが，石炭とLNGの焚き増しが大きくなかったことから，石油の出番が大幅に増えている。 7～9月の九電力の石油消費量は重油換算約540万klと試算され，前年同期を76％（230万kl）も上回る。