「量子ドット（QD）蛍光体」とそのディスプレイ分野への期待～4K8Kテレビ向け等．次世代ディスプレイに求められるマテリアル

摘要

現場の臨場感や実物感の再現を目指した次世代超高精細度テレビ放送（4Kや8K放送）を現実のものとするためには，国際規格であるBT．2020の色域（図1）を満足する次世代ディスプレイが不可欠である。世の中に存在する色彩，すなわち自然界で存在する物体色の色域を100％とすると，現行のハイビジョンテレビ放送の規格BT．709の色域は74．4％に止まる。対してBT．2020の規格上では自然界の99．9％，ほぼ100％の色彩を再現できるようになる（図1右）。現在市販されている液晶ディスプレイ（LCD）や有機ELディスプレイでは,8K放送対応も含め色域カバー率は80％程度であり，次世代高精細度テレビ放送には適用できない。また，映像の高画質化のもう一つの動きとしては，輝度範園のSDR（StandardDynamicRange）からHDR（HighDynamicRange）への拡張が注目されている。ディスプレイや家電メーカーは，これらの技術動向を睨みながら，大きなカラー·ボリューム（図1左）を持つ次世代ディスプレイの開発に躍起になっている。