伸縮性を有する高導電性PEDOT:PSSフィルムの開発と応用

摘要

導電性高分子の発見とその後の研究開発は，軽量で フレキシブル，安価なプラスチック?エレクトロニク スという新分野を拓いた。中でもポリ（4-スチレンス ルホン酸）をドープしたポリ（3,4-エチレンジ才キシ チオフエン）（PEDOT ： PSS)は最も成功した導電性晶 分子の一つであり，高い軽量性と透明性，優れた耐熱 性と安定性を有することから，帯電防止材や固体電解コ ンデンサ，有機ELのホール注入射などに幅広く用いら れている。PEDOT ： PSSは図1に示すようなモノマー 配列（一次構造）から成り，静電相互作用によりポリ イオンコンプレックス（二次構造）を形成している。これが直径数十nmのコロイド粒子（三次構造）として水 分散することから，ウエットプロセスを用いた固体(四次構造）への成形加工可能であり，タッチパネルやフ レキシブルデイスプレイの透明電極マイクロファ イバーフイルムスピーカー，電場シールド，ソフトアクチュエータ等プリンテッドエレクトロ ニクスへの応用が期待されている。興味深いことに， PEDOT ： PSS水分散液にエチレングリコールのような有機溶媒を少量添加するだけで，電気伝導度が二桁以上 向上することを報告ている。