有機無機ハイブリッドによって侍られるEL材料～高耐久性,高発光性,作業性向上を兼ねるマテリアルとしての可能性

摘要

有機無機ハイブリッドは，有機分子と無機材料が分子レベルで均一に混和した複合材料であり，有機分子の機能（光学的性質，電気的性質，酵素活性など）と無機材料の性質（耐熱性，堅牢性）を融合することができる。有機化合物と複合化する無機材料としては，シリカ（酸化ケイ素）が最も広く研究されており，有機ポリマーとシリカとのハイブリッドの場合，シリカとハイブリッド化することによる耐熱性や機械的強度の向上といった構造材料としての性質改善が注目されている。一方，われわれは，シリカと複合化する有機ポリマーとして方共役ポリマーに注目している。方共役ポリマーは，炭素一炭素二重結合と炭素嶋炭素単結合が交互に結合している構造を有しており，ポリアセチレンのドーピングによる電導性の発現が見出されて以来，「電気を通すプラスチックス」として関心を集めていたが，近年は，さらに，蛍光，有機EL発光，ソルバトクロミズム，エレクトロクロミズムなどの機能を有する光機能性ポリマーとしても注目されている。本稿では，高輝度発光特性を有するフルオレン系有機ELポリマーとシリカとのハイブリッドについて，新しいEL材料としての観点から紹介する。