ゼオライトを用いた吸着脱硫技術

摘要

炭化水素燃料の脱硫工程は, その後に続く燃焼で発生する大気汚染物質の低減や燃料電池などに利用される水素製造用改質反応における触媒保護の観点から非常に重要な技術として研究が行われてきた。 石油精製における脱硫工程は, 水素雰囲気下で硫化水素に変換して分離除去する水素化脱硫法が主流である。 しかし, 水素化によるガソリン成分のオクタン価低下, 超低硫黄濃度領域における硫化水素とオレフィンの反応によるメルカプタンの再生（サルファーフリーガソリン製造プロセスなど）, および水素ユーティリティがない条件での脱硫（小型燃料電池システムなど）のように，水素化脱硫だげで対応が困難な領域においては, 吸着脱硫法が用いられているケースが多く, 例えばConoc-Phillips社ではS Zorbと呼ぼれる新規反応吸着脱硫プロセスを商業化している。 最近では吸着脱硫に対して有効な細孔構造やS軌道電子受容性などの金属担持ゼオライトの特性を利用した吸着剤の開発が盛hに進められているので, 本稿ではそれらを紹介する。