自動車用高圧水素ガス容器の火炎暴露試験方法の検討：第1報: 各試験機関の火炎暴露試験結果の比較

摘要

燃料電池自動車の高圧水素ガス容器には，火災などによるガス容器の破裂を防ぐために，安全弁（PRD：Pressure Relief Device）が組み込まれる．PRDは，火災などによる熱を検知し，容器内のガスを安全に放出させる安全装置である．この健全性を確認するために，自動車用高圧水素ガス容器試験のドラフト案（ISO／CD15869）には，ガス容器とPRD，および主止弁などを組み込hだ完成した容器の火炎暴露試験（ボンファイヤ試験）が設定されている．本試験法には，火源の大きさ，温度測定箇所や要求温度，火源から容器底部までの距離などが規定される．しかしながら，火源の燃料の種類，PRDが直接火炎に接触しないためのPRDの金属製シールドの形状，PRDから放出されるガスを火源から離れた箇所へ導くPRDベント管の装着の有無などの詳細は規定されていない．このため，各試験機関で実施される試験方法の違いによっては，試験結果の合否判定や試験結果の相違が懸念される．本稿では，海外の三つの試験機関にておこなわれているボンファイヤ試験方法を調査するとともに，同一容器とPRDを組み合わせたボンファイヤ試験を各試験機関にて3回ずつ実施し，試験結果の相違点を調査するとともに，その要因について考察した．