施設トマト栽培で養液土耕（灌水同時施肥）は施肥窒素量に対するN2O放出量の比を低下させるか？

摘要

畑地への施肥窒素は、温室効果ガスであるN2O（一酸化二窒素。 通称、亜酸化窒素）の主要な人為発生源の一つである。 施肥窒素量の削減は、施肥窒素由来のN2O放出量を削減するための確実な手段である。 しかし、収量低下を招かずに施肥窒素量を削減するためには施肥効率を高める必要がある。施肥効率を高めるための代表的方策の一つとして、露地·施設を問わず、緩効性肥料の利用があり、速効性肥料を使用する慣行施肥に比較して施肥窒素量を削減できることが示されている。 また、施設栽培では、かh水に肥料を混入してかh水と施肥を同時に行う、いわゆる養液土耕法（一般に点滴かh水を用いる）についての研究および現場への普及がなされている。養液土耕栽培の施肥効率に関する詳細な研究は少ない（林ら、2003）ものの、慣行の施肥法に比較して施肥量を削減できるという報告は多い。施肥量が削減できれば、それに比例してN2Oの放出量も削減できると考えられるが、施肥効率が高まればガス化する割合も低下して、N2O放出削減効果は施肥量の削減率以上に高くなることも期待される。