エンジンの主要構成部品の動向：動弁系－(4)ディーゼルエンジン用コモンレールシステム

摘要

ディーゼル車は近年その出力性能や排出ガス浄化が大きく進歩し、燃費低減、CO{sub}2低減のグローバルな観点から注目を集めている。 走りの良い燃費に優れるクリーンディーゼル乗用車は欧州で高く評価されており新車の約50％を占めている。 かつては、遅い、うるさい、汚いと形容されたディーゼル車の性能を飛躍的に向上することに燃料噴射装置ではコモンレールシステム（以下コモンレール）が大きな役割を果たしており、ディーゼル車の燃料噴射装置の主流になってきている。 ディーゼルエンジンの課題は、スス(PM)と窒素酸化物(NO{sub}x)の排出ガスのさらなる浄化にあり、日本、欧米で厳しい排出ガス規制とともにクリーン化技術の開発が進められている。 コモンレールについては高圧化、高応答化（高精度噴射）をキーワードにした開発を進めている。 コモンレールの大きな特徴の一つは、エンジン回転数に依存しない超高圧噴射が可能な点である（高圧噴射は出力向上や排出ガス低減のための噴霧の微粒化促進のため重要）。 本稿では、コモンレール機能の動向とコモンレールの高圧噴射機能を支えている鉄鋼材料の開発について紹介する。