TOA(Time of Arrival)測位は,送受信機間の距離を同時に複数観測し,目標の位置を推定する.目標が送信源の場合と,目標が受信機を搭載している場合がある.なお,後者の代表例は,GPSである.ところで,TOA測位では,送受信機の配置により測位精度が大きく変化し,発散する場合すらある.なお,測位精度劣化の従来の指標であるDOP(Dilution of Precision)は,送受信機の配置関係より決まる長方行列(これを配置行列と呼ぶことにする)とその転置行列より算出した正方行列の逆行列の存在を仮定し,この逆行列の対角成分のみより算出していた.本稿では,TOA測位精度の指標として,逆行列の算出が不要な,配置行列の最小特異値を提案する.また,この最小特異値が大きければ,測位精度が確保できることを示す.
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