全身振動に暴露する人体の振動応答測定

摘要

近年，環境や人間に対して十分に配慮された機械製品が求められるようになってきた。 このような観点で人間と機械との関係を考えると，例えば，乗員·乗客として自動車，鉄道を利用するときのように，我々は身近に振動を受けており，機械的振動が人間に及ぼす影響を明らかにしておくことは極めて重要である。 ところで機械的振動が人間に与える影響には，物理的，生理的，および心理的特性の三者があり，相互に関わり合っていると考えられるが，機械的振動が人体に及ぼす影響を工学的に評価する上で最初に把握すべきであるのは，物理的特性，すなわち人体の動特性であろう。なぜなら人体に入力した振動は体の中を伝達し，頭部，脊柱，内臓などの人体各部が振動し，生理的，心理的な影響を引き起こすと考えられるからである。 従って，機械的振動に暴露する人体各部の振動応答を測定し，人体の動特性を理解することが重要であり，以前より多くの研究者が実験室での加振台を用いた加振実験により，その把捉を試みている。