ITERを軸としての核融合開発と最近の成果：核融合科学研究所の大型ヘリカル装置(LHD)の成果

摘要

21世紀に入り，核融合研究もいよいよその最終段階である「燃焼プラズマを直接研究対象とする時代」に入ったといえる。 周知のように，人類が最初に手に入れる核融合炉はITERと呼ばれる，トカマク型の装置になる見込みである。 一方，核融合科学研究所で現在実験を推進しているLHD (Large Helical Device)はヘリカル型に分類される装置であるが，両者とも「環状磁場閉じ込め装置」という点でプラズマを閉じ込める基本原理は同じであり，プラズマの振舞いも，共通の物理に支配されている場合が多い。このような観点に立つと，装置の建設開始とともに「ITER時代」が到来したとしても，両者に共通な物理の解明のために，オールタナティブ·コンセプトとしてのLHDが果たす役割はむしろ高くなるものと考えるべきであろう。 本稿では，このような視点から，LHDの最近の成果を概観する。