放射線被ばくによる健康影響－組織反応と発がhリスク

摘要

2016年7月6日～8日東京大学弥生講堂で開催された第53回アイソトープ·放射線研究発表会におけるパネル討論1．「低線量放射線の健康影響に関する国内関連学会における研究の現状とこれからの連携の在り方」に参加した。放射線に関連する5学会（日本放射線安全管理学会，日本保健物理学会，日本放射線影響学会，日本癌学会，日本原子力学会）が一堂に会して討論する貴重な機会であった。東電福島第一原子力発電所事故の経験を踏まえて，一般市民と社会へ発信することの重要性をいずれの学会も認識し始めている。特に，低線量放射線健康影響という難しい課題の理解を深めるためには，学会相互の連携と基本情報の共有が不可欠である。さらに市民と「専門家」の共通基盤としての放射線基礎教育の重要性が指摘された。本稿では低線量放射線影響とその防護の共通理解を難しくしていると思われる要因のひとつとして，2種類の健康影響をとり上げて解説する。