農業技術研究機構における「地域総合研究」－作業技術研究に関連した研究成果(2)：新しいアルファルファ草地造成および収穫作業技術

摘要

経済のグローバル化にともない，わが国へも海外から大量の飼料等が輸入されている。 しかし，輸入飼料への依存は，世界的な穀物需給の逼迫に起因した輸入価格の高騰による経営の不安定化，過剰な家畜排泄物による環境負荷の増大，濃厚飼料多給による生産病の増加等の諸問題に止まらず，最近では，口蹄疫や牛海綿状脳症（BSE）の発生が大きな社会不安をもたらしている。 これらを解決するためには，高品質な粗飼料の自給率の向上による，土地資源に立脚した物質循環型の持続的畜産システムの確立が不可欠である。 北海道農業研究センターでは，寒地適応性の高いアルファルファ新品種の育成およびその草地造成，収穫調製に関わる素材技術の研究成果を基に，地域総合研究「アルファルファを導入した畑地型酪農営農システムの確立」を平成10年から実施しており，本年度が最終年度となる。 アルファルファは蛋白質やミネラル含量が高く，家畜の採食性も優れることから，高泌乳牛に適した高栄養価牧草として注目されている。ここでは，新たに開発した単播草地の造成技術およびマット状にして圃場予乾する収穫調製技術を中心に紹介する。