データマネジメントプラン活用に関する研究データ基盤の要件定義を目的とした国際事例研究

摘要

データマネジメントプラン（DMP）は，研究において取り扱うデータの保存，管理，公開に関する計画を記述したドキュメントである．2011年以降，世界的な傾向として資金配分機関が研究者に対してDMPの提出を義務付けている．一方で，研究者がDMPに記述された計画通りに研究データを管理できるような、システムによるサポートを実現しようとする取り組みが活発である．しかし，これらのコンセプトをいかに具体化していくかの検討は十分ではない．本研究では，DMPの活用をめぐる国際的な動向調査として，欧州，米国，ならびに豪州の事例を文献調査およびヒアリング調査によって収集し，各国のアプローチを比較した．その結果，DMP活用のアプローチには欧米型と豪州型の2つがあることと，両者は相補的な関係にあることが分かった．さらに，DMP活用の目的として4つに類型があることが分かった．そのうえで，DMPを活用した研究データ管理システムの要件として，欧米型と豪州型のアプローチを取り入れた機能要件を提示した．考察では，今後のシステムモデルの検証への道筋をつけるにあたり，国立情報学研究所（National Institute of Informatics: NII）が開発に取り組hでいる研究データ基盤である「NII Research Data Cloud」（https://rcos.nii.ac.jp/service/）に対して，本研究のシステムモデルを適用する際の課題についても検討した．