ワイヤロープの歴史と取り扱い（2）－クレーン用ロープに求められるもの

摘要

近年，運搬荷役作業の合理化に伴ってクレーンの利用度が高まっておりますが，それぞれの用途に適応するためクレーン構造や機能が多様化し，使用されるワイヤロープ（以下ロープと略称する）も目的に応じて構成の増加，ロープ径の広範囲化，高強度化によりその種類はますます増え，現代社会では欠くことのできない重要な役割を担っています。しかし，ロープはクレーンの消耗品であるとの考え方から，比較的粗末に扱われる傾向があり，ロープに対する取扱者の知識不足や不注意により，重大災害に至った例が少なくありませh。ロープの能力は，それが正しく使用された場合に十分発揮されるものであり，使い方が適切でない場合には，重大事故に至ることがあります。それゆえ，ロープを正しく使用するために，ロープの種類とその特徴，特性，損傷とその対策等について十分理解しておくことが大変重要となります。