エアコンポンプダウン時の圧縮機のディーゼル燃焼特性に関する潤滑油添加剤の影響

摘要

ルームエアコンのポンプダウン時の冷媒圧縮機の破裂事故の報告は少なくない．事故原因に関してははっきりしない点が多く，その関連の研究は少ない．近年，地球温暖化対策に関連し，エアコン機器の冷媒はより低いGWP冷媒への移行が進められつつある．低GWP冷媒として，R1234yfやR32そして自然冷媒プロパン（R290）などがあげられる．これらの冷媒は微燃性，可燃性ガスであることから安全性の面からも関心が深い．東らはポンプダウン時の圧縮機の破裂事故の原因を探る為，圧縮機を模型エンジンで模擬し，混合ガス（冷媒ガス，空気，潤滑油噴霧）をディーゼルエンジンを用いて圧縮した実験を行い，冷媒の低濃度領域において燃焼による高圧力が発生することを確認し，潤滑油がまず自己着火を起こし，冷媒の燃焼へと伝播する可能性が高いことを報告している．本研究では潤滑油燃焼伝播を阻害する物質を添加することによって，冷媒圧縮機の燃焼事故を抑制できないか検討している．潤滑油に含まれる添加剤（酸化防止剤）濃度に注目し，添加剤濃度が模擬圧縮機内の燃焼に伴う高圧力およびその発生範囲に及ぼす影響を調べ報告する．