溶射被膜による水平管外流下液膜蒸発熱伝達の促進に関する研究

摘要

近年，地球温暖化対策の一環として，多くの熱機器に使用されている冷媒の使用量削減が進められている．シェルアンドチューブ熱交換器の一種である流下液膜式熱交換器は，従来幅広い用途で用いられてきた満液式熱交換器と比較し，作動に要する冷媒が少なく充填量を削減できることから，セントラル空調システムでの冷水供給などでの置換が有望視されている．流下液膜式熱交換器は，水平に設置された伝熱管群の上部より冷媒液をかけ流し，管表面に液膜を形成することで，液膜表面からの蒸発や液膜内での核沸騰により熱輸送を行う．伝熱管が常に液に浸される満液式とは異なり，有効な伝熱面は液膜が形成されている部分であることから，部分的なドライアウトは熱通過率を大幅に悪化させる．したがって，管表面での液分配および液膜の保持が重要であり，使用される伝熱管への要求事項となっている．